従業員から未払いの残業代を請求されたときの対処方法をご説明します。
このページの目次
1.不払い残業代が発生しているか検討する
まずは「本当に不払い残業代が発生しているのか」を確認しましょう。
従業員が「必要な残業代を払ってもらっていない」と主張していても、実際には「法的に残業代を払う必要がない」ケースが少なくありません。
- 固定給に残業代が含まれている
- 管理監督者
- 裁量労働制が適用される
- 事業場外のみなし労働時間制が適用される
- 残業を禁止していた
- 従業員が勘違いをしている
上記のような状況であれば、そもそも残業代を支払う必要がありません。
残業代支払い義務があるかどうか判定しにくい場合、弁護士までご相談ください。
2.時効が成立していないか検討する
残業代の請求権には「時効」があります。
発生してから長期間が経過したら、時効を主張して支払いを拒むことが可能です。
現在の法律(労働基準法)によると、残業代の時効期間は5年となっています。ただし2020年3月31日までの残業代については「2年」の短期消滅時効が適用されます。
現時点では多くのケースにおいて、残業代請求権の時効期間は2年となるでしょう。
特に退職した従業員から残業代請求をされた場合、時効が成立している可能性が高くなります。
残業代請求をされたら、時効期間を正確に計算してみてください。
3.計算方法が合っているか確認する
従業員から未払い残業代の請求書が届いたら、残業代の計算方法が合っているかどうか確認しましょう。計算書がついていない場合には、まずは計算の根拠を示すよう要求してください。
特に弁護士がついていない場合、計算間違いを起こしている可能性が非常に高くなります。
弁護士がついていても、証拠不足によって推定計算をしており、不払い金額が過大になっているケースが少なくありません。
不払い残業代の返還交渉に際しては、会社側でしっかり残業代の計算を検証する必要があります。
4.交渉して金額や支払方法を調整する
残業代の計算ができたら、従業員側と話し合って不払い残業代の返還金額や支払方法を決めましょう。
合意ができたら「不払い残業代支払いに関する合意書」を作成し、後にトラブルが蒸し返されないように対処する必要があります。
5.残業代を請求されたら弁護士へ相談を
従業員側から残業代請求をされても、法的には支払わなくて良いケースが少なくありません。自己判断で対応すると、不必要な支払をしてしまうリスクも高くなります。
また未払い残業代の訴訟を起こされて判決で支払い命令が出ると、高額な遅延損害金や付加金も加算されるので、何としても避けねばなりません。
残業代を請求する内容証明郵便などを受け取ったら、すぐに弁護士へご相談ください。